2026年3月18日、Figmaの株価が約8%下がりました。 原因は、Googleです。 Google Labsの無料AIデザインツール「Stitch」が大型アップデートを発表しました。Googleはこれを「Vibe Design」と呼んでいます。 先週法人様にVibe Coding研修(Gemini Canvas & Google Sticth)を実施したばかりですが、さっそくフォローアップが必要なようです(笑) テキストを入力するとUIが1枚出てくる。そんなシンプルなツールだったStitchが、5つの新機能で「AIネイティブなデザインプラットフォーム」に変わりました。 何が変わったのか。1つずつ見ていきます。
Before: テキストを入力すると、UIが1画面生成される。それだけ。 After: キャンバス上に置いたものすべてをAIが理解し、デザインに反映する。 これが一番大きな変化です。 Googleはこれを「AIネイティブキャンバス」と呼んでいます。見た目はFigmaのような無限キャンバスですが、本質が違います。 キャンバス上に置いたテキスト、画像、コード——すべてがAIへの文脈情報になります。たとえば競合サイトのスクリーンショットを貼って「この方向性で、もっと柔らかく」と指示する。参考画像とテキストメモを横に並べて「この雰囲気で」と伝える。AIがそれらを読み取って、デザインに反映してくれます。 従来のAI生成ツールは「1回の入力→1回の出力」で完結していました。このキャンバスでは、素材を追加するたびにAIの理解が深まり、出力の精度が上がっていきます。 https://x.com/stitchbygoogle/status/2034332853841092710?s=20
Before: 1回の指示に対して1回の生成。前の生成結果を覚えていない。 After: プロジェクトの全履歴を把握し、文脈を踏まえて生成する。 新しい「デザインエージェント」は、あなたがこれまでにキャンバス上で行ったすべての操作を記憶しています。
「さっきのA案に戻って、色だけ変えて」 「B案の方向性で、ヘッダーだけA案のを使って」 こうした連続的な指示が通ります。1回ずつリセットされる生成AIとは根本的に違います。 さらに「エージェントマネージャー」という管理機能が追加されました。複数の方向性を並行して探索し、進捗を一覧で確認できます。A案・B案・C案を同時に走らせて比較する。そんな使い方が可能です。 https://x.com/stitchbygoogle/status/2034332856483479605?s=20
Before: すべてテキスト入力。 After: 声で指示するとリアルタイムにデザインが変わる。 キャンバスに向かって話しかけるだけです。
「ダークモードにして」 「メニューを3パターン見せて」 「フォントサイズをもう少し大きく」 これだけでAIがリアルタイムに反映します。キーボードに手を伸ばす必要がありません。 デザインレビューの場面を想像してみてください。画面を見ながら「ここをもう少し余白とって」と声で伝えるだけで、その場で変わる。フィードバックと修正のサイクルが劇的に縮まります。 https://x.com/stitchbygoogle/status/2034332859058794796?s=20
Before: 静的な画面が生成されるだけ。動きは確認できない。 After: 画面をつないでPlayボタンを押すと、クリック可能なプロトタイプが完成する。 複数の画面を選択して「Stitch(つなぐ)」するだけです。Playボタンを押せば、ユーザーフローを実際にクリックして確認できます。 ここで驚くのは、遷移先の画面をAIが自動生成する点です。 ログインボタンを押すと、ログイン後のダッシュボード画面が自動で出てくる。すべての画面を事前に作り込む必要がありません。文脈を理解して、次の画面を推測してくれます。 プロダクト名の由来「Stitch(縫い合わせる)」がここで回収されています。 https://x.com/stitchbygoogle/status/2034332861646709226?s=20
Before: デザインルールは手動で管理。ツール間の共有は手作業。 After: Markdownファイルでデザインシステムを書き出し、どのツールにも持っていける。 DESIGN.mdは、色、タイポグラフィ、コンポーネントのルールをMarkdownファイルとして自動生成する機能です。 2つの使い方があります。 1つ目は、既存のWebサイトのURLを指定して、そこからデザインルールを自動抽出すること。競合サイトや自社サイトのルールをAIが読み取って、ファイルにまとめてくれます。 2つ目は、このファイルを他のプロジェクトやツールにインポートすること。たとえばClaude CodeやCursorなどのAIコーディングツールに渡せば、デザインルールに沿ったコードを生成してくれます。 デザインシステムが「ファイル1つ」で持ち運べる。これはデザイナーだけでなく、エンジニアにとっても大きな変化です。 https://x.com/stitchbygoogle/status/2034332864314298524?s=20
5つの新機能に加え、実装との接続も強化されました。 Stitchで作ったデザインは、Google AI StudioやAntigravityにワンクリックでエクスポートできます。HTMLとして書き出され、AI Studioで動くアプリに変換するまで60秒以内とGoogleは説明しています。 React/Tailwindコードの直接生成にも対応。MCP(Model Context Protocol)サーバーとTypeScript SDKも公開されており、開発ワークフローに直接組み込めます。 「デザインを作って、別のツールに渡して、コードに変換して…」という翻訳作業が、ほぼなくなります。
冒頭の話に戻ります。 Figmaの株価が約8%下落したのは、この発表の直後です。投資家が「GoogleのAIデザインツールがFigmaの主力事業を脅かす」と判断しました。 Figmaは有料です。Stitchは無料です。 もちろん、FigmaとStitchは現時点で完全な競合ではありません。Figmaはチームでの共同編集、バージョン管理、デザインシステムの統合、Dev Modeなど、実務に必要な機能を網羅しています。Stitchはまだ「Google Labsの実験ツール」という位置づけです。 ただ、今回のアップデートで見えたのは、GoogleがStitchを「おもちゃ」から「プラットフォーム」に育てようとしていること。AIネイティブキャンバス、エージェント、プロトタイプ、デザインシステム。これはFigmaが提供している機能の中核と重なります。 無料のAIネイティブツールが、有料ツールの領域に踏み込んできた。市場がそう判断したということです。
stitch.withgoogle.com を開いて、今のプロジェクトのURLを入れてみてください。 DESIGN.mdが生成されます。そのファイルを見れば、AIがあなたのデザインルールをどう理解しているかがわかります。 使うかどうかを判断するのは、触ってからで遅くありません。Stitchは無料です。18歳以上で、Geminiが使える地域なら誰でもアクセスできます。 https://stitch.withgoogle.com/