「AIには専用のプロトコルが必要だ」 そう信じていた時期が、私にもありました。 でも、あるエンジニアの記事を読んで、考えが変わりました。 40年以上前からある「コマンドライン(CLI)」で十分だった、という話です。
まず前提を揃えます。 MCP(Model Context Protocol) は、AIと外部ツールをつなぐための「共通ルール」です。 たとえば、ClaudeにSlackやGitHubを操作させたい。 そのとき「どうやってデータをやりとりするか」を決めたのがMCP。 2024年後半から急速に広がり、多くの企業が「うちもMCPに対応しました!」とアピールしました。 いわば、AI時代の”USB規格” を目指したものです。 ところが——。 30分のウェビナーを開催します! 自主企画初回のテーマは「Nano Banana 2」です。
インフラエンジニアのEric Holmes氏が、2026年2月28日にブログで公開した記事が話題になっています。 タイトルは 「MCP is dead. Long live the CLI」。 https://ejholmes.github.io/2026/02/28/mcp-is-dead-long-live-the-cli.html 直訳すると「MCPは死んだ。CLIよ永遠なれ」。 彼の主張はシンプルです。
AIに特別なプロトコルは要らない。昔からある「コマンドライン」で十分。 なぜそう言い切れるのか。 彼が挙げた理由を、ひとつずつ見ていきましょう。
ここが最大のポイントです。 ChatGPTやClaudeのようなAIは、何百万ものマニュアルやGitHubのコードを学習 しています。 つまり、gitやawsといったコマンドの使い方を、すでに知っている。 わざわざMCPという「専用の通訳」を用意しなくても、AIは直接CLIと会話できる わけです。 人間が使うのと同じコマンドを、AIもそのまま使える。 これは大きな利点です。
何かがうまくいかないとき。 MCPだと、JSONという機械向けのデータ形式のログを解読する必要があります。 正直、しんどい。 一方CLIなら、人間が見ても、AIが見ても、同じ出力 が返ってくる。 エラーが出たら、同じ画面を見て原因を探れます。 「人間にもAIにもやさしい」のがCLIの強みです。
CLIの真骨頂は パイプ( | ) です。 あるコマンドの出力を、次のコマンドの入力にそのまま渡せる。 たとえばインフラの変更計画を確認するとき、こんなことができます。
計画ファイルを読み込む → 変更があるリソースだけ抽出する → 一覧にする この流れを、コマンドをパイプでつなぐだけで実現できる。 MCPでは、こうした 「レゴブロックのような柔軟な組み合わせ」 が難しいと著者は指摘します。
AWSやGitHub、Kubernetesなどのサービスには、すでに確立された認証の仕組みがあります。 CLIならそれをそのまま使える。 MCPのために新たな認証レイヤーを追加する必要はありません。 既存の仕組みで十分まわる、というのが著者の立場です。
MCPサーバーは、起動して、接続して、プロセスを管理して……と、やることが多い。 初期化が不安定だったり、複数ツールを使うと再認証が必要だったり。 権限の管理も「全部許可か、ゼロか」の二択になりがちです。 対してCLIは、バイナリひとつ置けば動く。 シンプルなものは壊れにくい。 これはデザインの世界でも同じです。
著者はMCPを全否定しているわけではありません。 CLIの代替手段がない場合 たとえば「ブラウザ操作」や「GUI」しかないツールとの連携には、MCPが有効だと認めています。 大事なのは、「まずAPIとCLIを用意し、MCPは二の次で考える」 という優先順位です。
この記事を読んで、私は「あぁ、やっぱりそうだよな」と思いました。 新しい技術が出ると、つい飛びつきたくなる。 「MCP対応しなきゃ」「最新のプロトコルに乗り遅れるな」と焦る。 でも、本当に必要なのは「新しいこと」ではなく「正しいこと」 だったりする。 CLIは40年以上前からある「枯れた技術」です。 でも「枯れている」からこそ安定していて、人間にもAIにも通じる。 ディーター・ラムスの “Less, but better” そのものです。 要素を足すのではなく、引き算で強くする。 私自身、AIツールを紹介するとき「このMCPサーバーを入れて、あのプラグインも追加して……」と、つい”足し算”の提案をしがちでした。 でもHolmes氏の記事は、もっとシンプルなやり方があることを思い出させてくれます。 最後に、いつも言っていることを。 どんなに優れたプロトコルやツールがあっても、「何を実現したいのか」という意志がなければ、道具は道具のまま です。 道具より、覇気を研ぎましょう。 30分のウェビナーを開催します! 自主企画初回のテーマは「Nano Banana 2」です。