サムネイル画像はNewsPicksトピックスから引用しています。 Voicyでも解説しているので、この記事と合わせて聞いていただけると理解が深まると思います。 「デザイナー」と聞くと、多くの人は美しいロゴや魅力的なWebサイト、目を引くバナーなど、「目に見えるもの(画像)」を作る仕事だと考えます。 確かに、デザインの「かたち」は目に見えるものが多いですし、AIの進化によって、この「かたち」を作る作業は劇的に効率化され、高品質なものが簡単に生成できるようになりました。 しかし、私は「デザイナーの仕事は、それ自体に価値がある目に見えるものを作るのではなく、それによって『相手の脳』に何が出力されるか、つまり『現象』を作る仕事だ」と考えています。 そして、AIが「かたち」を簡単に作れるようになった今、この「現象を作る力」こそが、デザイナーにとって最も重要なスキルとなっています。 【 発売1週間ほどで重版決定 】 Amazon 売れ筋ランキング 商業デザイン売上 1位 を記録(10/15 調べ) 5月22日(木)に「伝え方」をテーマにした無料ウェビナーを開催します。NewsPickトピックスでも投稿している内容をギュっと詰め込んだ内容となりますので、ぜひご参加ください。 下記のウェビナーは終了しました。 https://kawai-design0522.peatix.com/
クリエイティブの価値は、それがどれだけ美しく、精巧に作られているかだけでは決まりません。 本当に重要なのは、そのクリエイティブを見た相手が、何を感じ、何を考え、どのような行動を取るか、ということです。 つまり、相手の脳にどのような「出力」が生まれるかに、デザインの真の価値があります。 例えば、
AIは素晴らしい「かたち」を驚くほどのスピードで大量に生成できます。 これにより、「綺麗な画像を作ってほしい」「このレイアウトでバナーを作ってほしい」といった、特定の「かたち」を作る依頼の価値は相対的に低下しています。 しかし、AIは「この広告を見た人が、思わずクリックしてしまうような驚きを生んでほしい」「このWebサイトを訪れた人が、このサービスに親近感を持って利用を開始するような体験を設計してほしい」といった、相手の脳に生まれる「現象」を意図通りに作り出すのは得意ではありません。 AIは過去のデータから学習したパターンに基づいて「かたち」を生成できますが、人間の複雑な感情や、特定の文脈における微妙な心理の変化を正確に予測し、操作することはまだ難しいからです。 だからこそ、AI時代にデザイナーに求められるのは、単にツールを使いこなして「かたち」を生成するスキルだけでなく、その「かたち」を使ってどうすれば相手の脳に目的の「現象」を出力できるかを深く考え、設計する力です。
では、「現象を作る」デザイナーは具体的にどのような仕事をするのでしょうか?
ターゲットとなる相手が、どのような情報処理を行い、何に心が動き、どのように行動を決定するのか。 心理学や脳科学、行動経済学といった分野の知見が役立ちます。人は本能で動き、あとから理性で理由を作る、といった人間の性質を理解することから始まります。(例:UX心理学サイトの活用など)
相手の脳に出力される像は、言葉とビジュアルの相互作用によって生まれます。どちらか一方だけでは不十分です。 短い言葉で本質を突き、それを補強するビジュアルを選ぶ。あるいは、ビジュアルで強く目を引き、言葉で深い理解を促す。 この連携プレイをデザインすることが重要です。デザインにおける「間」(余白やタイミング)も、相手の思考や感情に影響を与える重要な要素です。
どんな「現象」(行動、感情、理解など)を相手の脳に生み出したいのか? そこから逆算し、必要な情報、最適な表現方法、適切な配信タイミングなどを設計します。 これは医者が「患者の健康な状態」をゴールに逆算して治療計画を立てるのと同じです。「どう作るか」ではなく「どうなれば成功か」から考え始めます。
余計な情報や装飾は、相手の脳の処理を妨げ、本当に伝えたい価値を曖昧にしてしまいます。 ミケランジェロがダビデ像を「不必要なものを全て取り去った」結果生まれたと語ったように、デザインもまた、目的達成に不要なものを削ぎ落とす「引き算」のプロセスです。
依頼された「かたち」をそのまま鵜呑みにせず、「なぜそれが必要なのか?」「それによって何を目指すのか?」と深く問いかけることで、真の目的(現象)にたどり着き、より効果的なデザインを提案できます。
AIが「かたち」を作る能力を飛躍的に高めた今、デザイナーの主戦場は「ピクセルの編集」から「脳の編集」へと移行しつつあります。 相手の心と行動にどのような「現象」を生み出すか。 この問いを深く追求し、AIを強力な相棒として使いこなせるデザイナーこそが、AI時代に真価を発揮し、求められる存在となるでしょう。 単なるビジュアルメーカーではなく、相手の脳に価値ある「出力」を生み出す「現象メーカー」を目指しましょう。 5月22日(木)に「伝え方」をテーマにした無料ウェビナーを開催します。NewsPickトピックスでも投稿している内容をギュっと詰め込んだ内容となりますので、ぜひご参加ください。
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